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浅野 英之
弁護士
弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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セクハラ発言を一覧で紹介!具体例を交えてわかりやすく解説

セクハラ発言は、悪意なく交わされる言葉がきっかけで起こる例も少なくありません。

自覚なく発した一言でも、被害者には深刻な苦痛を与えます。被害者自身も「どのような言葉がセクハラ発言になるのか」を理解しないと、気付けないまま我慢していることもあります。近年、セクハラが社会問題化し、慰謝料請求の訴訟や刑事事件に発展する事例も相次いでいますが、始まりは何気ない一言であることも多いのが実情です。

セクハラ発言による被害を防ぐには、問題をすぐに指摘できるよう、そして無意識のうちに加害者にならないよう、どのような言葉が問題となるかを具体的に知る必要があります。

今回は、セクハラ発言を一覧で分かりやすく整理し、該当するかどうかを判断できるよう具体例を示しながら、労働問題に強い弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 発言のみで、身体的接触がないと軽視されがちだが、違法なセクハラである
  • セクハラ発言には様々な種類があるが、グレーゾーンの判断が重要
  • セクハラ発言となる言葉の具体例を知ることで、セクハラ防止につながる

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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セクハラ発言とは

セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、相手方の意に反する性的な言動や嫌がらせによって不快感や精神的苦痛を与える行為を指します。

セクハラには様々な形態がありますが、最も多いのが言葉によるセクハラ、つまり「セクハラ発言」です。セクハラというと、身体的な接触を伴う行為を想像しがちですが、言葉だけでもセクハラになり得ることを理解する必要があります。

セクハラ発言を軽視すると、損害賠償請求や刑事事件に発展するおそれのある重度のセクハラにつながるおそれがあります。セクハラ発言の段階で問題を認識し、適切に対処することが重要です。

以下では、セクハラ発言の基本的な知識と、その重大性について解説します。

セクハラ発言は「軽度」ではない

セクハラにあたる言動には、発言によるものと、具体的な行為を伴うものがあります。

ボディータッチや肉体関係の強要など、行為を伴うセクハラが不適切なのは明らかですが、セクハラ発言は「言葉だけだから」と軽視されることも少なくありません。

しかし、セクハラ発言は、決して「軽度のハラスメント」ではありません。むしろ、加害者が無意識のまま行いやすいため対策が難しいという特徴があります。また、被害者自身もセクハラ発言だとは気付かないまま精神的なダメージを蓄積してしまうケースもあります。

たとえ発言だけでも、継続的に、執拗に繰り返されれば、不快感は増幅し、被害者に与えるストレスや負担は決して無視できません。セクハラ発言は、重大な人権侵害となり得る行為であることを認識すべきです。

セクハラ発言の被害者は女性に限らない

「セクハラ」は典型的には、男性から女性への性的な嫌がらせが問題視されます。

しかし、セクハラ発言の被害者は女性に限らず、男性が被害者のケースもありますし、同性間での性的な言動やLGBTに対する性差別的な発言も、セクハラに該当する可能性があります。

行為を伴うセクハラでは身体的な力関係が問題となりやすいのに対し、セクハラ発言は性別や力の差に関係なく発生する「言葉の暴力」です。そのため、誰もが被害者にも加害者にもなり得るという特徴があります。

特に、性的マイノリティに対する偏見や固定観念に基づく発言は、発言者が無自覚のまま行っているケースも少なくありません。

セクハラ問題に強い弁護士」の解説

セクハラ発言になる言葉の例【一覧】

次に、セクハラ発言となる言葉について、具体例を交えて解説します。

一つ一つは些細に思える言葉でも、状況や関係性、頻度によってはセクハラ発言と判断されることがあります。発言集・事例集として、できる限り網羅的に一覧で紹介しますので、自身の言動や置かれた状況を確認する際の参考にしてください。

執拗に食事へ誘う発言

上司と部下、同僚同士など、職場で食事に誘う機会は珍しくありません。

しかし、誘う際の何気ないやり取りがセクハラ発言になることがあります。「社内の人間関係を円滑にしたかった」「性的な意図はない」と反論しても、特定の相手だけを繰り返し誘うことはセクハラになりやすいです。

  • 「仲良くなるために、毎日一緒にランチに行こう」
  • 「ディナーデートに行こうよ」
  • 「2人でゆっくりしたいな」
  • 「しっぽり一杯いこう」
  • (断られても)「いつなら行ける?」
  • (夜遅くに)「今から食事行かない?」
  • 「○○ちゃんは特別にランチおごってあげる」

誘われる側にとっては、「性的な意図があるのでは」と不快感を抱く原因になり得ます。善意のつもりでも、特別扱いは「見返りを期待されている」「下心がある」と評価され、セクハラと受け取られやすい点に注意が必要です。

執拗にデートへ誘う発言

社内恋愛や社内結婚そのものが問題なわけではありませんが、相手が嫌がっているのに好意を押し付けるのはセクハラに該当します。

  • 「土日どっちか空いてたら会わない?」
  • 「今度、温泉デートしよう」
  • 「嫁に内緒で泊まりにいかない?」
  • 「俺とかどう?タイプじゃない?」

特に、泊まりを前提とする誘いは性的関係を連想させるため、セクハラ発言となりやすいです。既婚者だと不倫になるため、社内の人との交際やデートそのものが不適切です。社長や上司など立場が上の人の誘いは拒否しにくく、エスカレートしやすいため、より問題視される傾向にあります。

ボディータッチを伴う声かけ

親しさを理由にした馴れ馴れしい接触も、セクハラ発言に該当する場合があります。

  • (肩を組みながら)「ねぇねぇ、○○ちゃん」
  • (狭いスペースで)「ちょっと後ろ通るね」
  • (つつきながら)「ねぇ、聞いてる?」

「反応がなかったから」「通りたかっただけ」などと理由付けをする人もいますが、言葉でも伝えられる状況であえて接触することは不要であり、ボディータッチの回数が多くなると「わざと触っている」と受け取られても仕方ありません。

自分は「仲良くなった」と感じても、相手が合わせてくれていたり、愛想よく振る舞っていたりするだけの可能性も大いにあります。

性的な内容を尋ねる質問

性的な内容を異性に執拗に質問する行為は、セクハラ発言になります。

  • 「最近、いつエッチしたの?」
  • 「初体験はいつ?早い?」
  • 「もしかしてまだ処女なの?」
  • 「彼氏とどんなエッチしてるの?」
  • 「ちゃんと子作りに励んでる?」

質問形式だと、命令口調よりも柔らかく感じ、問題意識を持てない人もいるため、特に注意が必要です。軽い冗談のつもりでも、答えたくない質問を聞かされること自体が不快であり、精神的苦痛となってしまいます。

宴会・飲み会での卑猥な発言

飲酒すると、下世話な話題や卑猥な発言で盛り上がることがありますが、時と場合を弁えるべきです。職場の関係者がいる以上、配慮は不可欠であり、すべきでない話題もあります。

  • 下ネタばかり話す
  • 宴会の余興で裸芸を強要する
  • (職場の人のいる席で)「昨日の夜、ワンナイトラブしてさ」
  • 「マッチングアプリで遊んでるよ」
  • 「この後2人でホテルに行こうよ」

女性がいる職場では特に、卑猥な発言は不適切であり、セクハラ発言になりやすいです。その場の空気に合わせて笑っていても、居心地の悪さを我慢しているケースは少なくありません。アルコールを理由にしても、セクハラ発言は正当化されないので注意してください。

飲み会でのセクハラ」の解説

職場での下ネタ発言

職場は、仕事をする場所であり、性的な話題を持ち込むこと自体が不適切です。

多少の私語はあったとしても無駄話は控えるべきで、ましてや異性にとって不快な言葉だと、セクハラ発言になってしまいます。

  • 皆の前で下ネタを話す
  • 「昨夜は一晩中激しくてさ」
  • デスクにグラビアポスターを貼る
  • セクシーなフィギュアを席に置く

職場で公然と、性生活を赤裸々に語ったり、卑猥な発言をしたりすることは、男女いずれでもセクハラ発言です。無意識なセクハラ被害を生む典型例なので、注意が必要です。

性的な噂話を広める発言

性的な噂を流したり、中傷したりする行為は、明確なセクハラであり嫌がらせです。特に、痴情のもつれや嫉妬心から、報復を目的として行われるケースがあります。

  • 「あの人、浮気しているらしい」
  • 「社内で手を出してると聞いた」
  • 「二股をかけているらしい」
  • 「淫乱」「ビッチ」「酔えば簡単にヤらせてくれる」

悪評が社内に流れると、被害者は職場に居づらくなるので、セクハラであると同時に職場いじめに該当する場合もあります。

職場いじめの事例と対処法」の解説

性的な魅力を強調する発言

褒め言葉であっても、性的な視点での評価だとセクハラ発言になります。

「相手も好意があるから」「褒めているだけだ」と言い訳をしても、職場の関係だと不快感を与えやすく、セクハラ発言になります。

  • 「かわいい」「きれい」
  • 「色気がある」「セクシーだね」
  • 「グラマー」「出るとこ出てるね」「スタイル最高」
  • 「いい匂いがするね」
  • 「触りたくなる髪だね」

職場で求められるのは、外見ではなく、業務に関する評価であることを忘れてはいけません。

性別や年齢を過度に指摘する発言

年齢を気にしている人は多いもので、性別の差も相まって「女性だから活躍できていないのでは」といった不安を抱える人も多くいます。そのため、性別や年齢をことさらに指摘すると、セクハラ発言にあたります。

  • 「若い女のくせになかなかやるね」
  • 「女みたいな根性なしだな」
  • 「女のくせになまいきだ」「男のくせにまったく力がないな」
  • 「そろそろはらまないと、高齢出産になっちゃうよ」

性別に対して特定の役割や固定観念を押し付ける発言は、「ジェンダーハラスメント」に該当することもあります。

外見や身体的特徴への言及

外見や身体的特徴の中には、本人の努力では変えられないものもあります。そのため、ことさらに取り上げる発言は強い不快感や屈辱感を与えるおそれがあり、セクハラ発言に該当します。

  • 「口臭がする」「臭い」
  • 「○○菌がうつる」
  • 「貧乳」「ペチャパイ」「牛みたいな乳」
  • 「スリーサイズ教えて」
  • 「おっぱい大きいね、何カップ?」
  • 「安産型でよかったね」

身体的特徴について性的に評価する言葉は、人格を否定されたと感じやすいです。気にしているかどうかは人によりますが、触れないのが無難です。

容姿や服装をいじる発言

容姿や服装は外見の一部であり、本人の趣味や価値観が反映されます。

社会人として常識的な範囲内であれば、職場で指摘すべき内容ではなく、容姿や服装に執拗に言及する言葉はセクハラ発言となります。発言者が「容姿を褒める意図があった」と反論しても、相手の感じ方が重要視されます。

  • 「スカート短すぎない?パンツが見えそうだよ」
  • 「胸を強調してるの?」
  • 「おめかししてるけど今夜デート?」
  • 「肌荒れひどいけど、寝てないの?」
  • 「最近肌つやがいいけど、彼氏と順調?」
  • 「メイクが濃すぎない?」

服装やメイクを性的な視点で評価する言葉は、業務と無関係なプライベートへの介入につなげやすく、セクハラ発言となりやすい傾向があります。

異性に対する差別的な言葉

職場では、性別にかかわらず相手に敬意をもって接する必要があります。

俗語やスラングの中には、異性を貶める差別的な意味を含む言葉も多く、安易に使用するとセクハラ発言になってしまいます。

  • 「おじさん」「おばさん」「ジジイ」「ババア」
  • 「デブ」「ブス」「ハゲ」
  • 「クソババア」「クソジジイ」
  • 「中年おやじ」「頑固親父」
  • 「お局さん」

冗談やあだ名のつもりでも、年齢や性別を理由にした呼称を付けると、差別的であると受け取られやすく、少なくとも職場では不適切な発言です。

私生活に踏み込む発言

職場と私生活は明確に区別されるべきで、プライベートな話題には慎重であるべきです。

私生活に関する発言の中でも、特に、結婚、恋愛、性生活に関する発言は、セクハラ発言となりやすい傾向があります。

  • 「昨日嫁と一発やってさ」
  • 「今まで相当遊んできたから」
  • 「彼氏いるの?」「毎晩してるの?」
  • 「いつ結婚するの?」「まだ結婚しないの?」
  • 「30歳すぎて独身なんて、どこか問題あるんじゃない?」
  • 「出産の予定はあるの?」

相手の性生活を詮索する言葉だけでなく、自分の性生活をひけらかす発言も、聞く人に不快感を与えるため、セクハラに該当します。

会社のプライベート干渉の違法性」の解説

性的な冗談、性的ないじり

冗談やいじりは人間関係を円滑にする側面もありますが、性的な視点を含むからかいになると、セクハラ発言として問題視されます。

  • 「イライラしてるけど、生理?(笑)」
  • 「その説教は更年期障害だな(笑)」
  • 「俺と性欲発散しない?(笑)」

「冗談だった」「笑わせたかった」という意図があったとしても、セクハラの成立を否定する理由にはなりません。

ちゃん付け・くん付けなどの呼称

職場の人間関係は友人とは異なり、過度にくだけた呼び方は相手を軽んじていると受け取られるおそれがあります。女性社員への「ちゃん付け」、男性社員への「くん付け」は、敬意を欠く呼称であり、セクハラ発言に該当する可能性があります。

  • ちゃん付け、くん付けをする
  • 「事務のおねーちゃん」
  • 「お茶くみの女の子」

職場で異性を呼ぶとき、上司・同僚・部下を問わず、原則として「さん付け」とすることが望ましいです。過去には許された発言も、現在では男尊女卑的な価値観を想像させるとして問題視されることが多く、世代間ギャップがセクハラ発言を生む原因となっています。

職場の男女差別の例と対応方法」の解説

職場におけるセクハラ発言の種類

セクハラは、厚生労働省のセクハラ指針で整理される通り、対価型セクハラと環境型セクハラの2種類に分類されます。セクハラ発言も、このいずれか、または両方に該当する形で問題となることが多く、発言の内容だけでなく、発言された状況やその影響も重要な判断要素とされます。

以下では、それぞれの特徴と、セクハラ発言がどのように分類されるのかを解説します。

対価型のセクハラ発言

対価型セクハラとは、労働条件や人事評価などの点で、性的な言動を受け入れることを条件に利益を与えたり、拒否したことを理由に不利益を与えたりする行為です。セクハラ発言も、その裏に見返りを求める次のような言葉は「対価型」に該当します。

  • 「付き合ってくれたら評価を上げる」
  • 「デートを断るなら、昇進は難しいな」
  • 「飲みに来ないなら、この仕事は任せられない」

対価型のセクハラ発言は、社長や上司などの立場が上の人から行われると、直接的な命令でなくても、被害者がプレッシャーを感じて従ってしまうケースは少なくありません。

環境型のセクハラ発言

環境型セクハラとは、性的な言動によって職場環境を悪化させる行為です。

セクハラ発言の多くは、この環境型セクハラに該当します。特定の相手に直接向けられた発言でなくても、繰り返されることで周囲にいる全ての人の労働環境に影響を与える点が特徴です。

  • 職場で繰り返される下ネタ発言
  • 性的な噂話を広める発言
  • 容姿や身体的特徴を話題にする発言
  • 性的な冗談やからかい
  • ちゃん付け・くん付けなどの呼称

環境型のセクハラ発言は、一つ一つは些細に見えて、繰り返されることで労働環境が悪化し、ストレスから業務に集中できなくなったり、職場に居づらくなったりします。

【加害者側】セクハラ発言を防ぐ方法

セクハラ発言によるトラブルは、悪意によってではなく、無自覚・無意識によって引き起こされるケースが多いです。セクハラ発言を防ぐには、事後対応よりも予防の意識が重要です。

以下では、加害者とならないために知っておくべき、セクハラ発言を防ぐ方法を解説します。

セクハラ発言のグレーゾーンを把握する

セクハラ発言は、身体的接触を伴うセクハラと比べ、どこからが問題になるのか、境界が曖昧になりやすい特徴があります。

身体的接触は「触ったらセクハラ」と明確に判断できますが、セクハラ発言は、同じ言葉であっても関係性や場面、頻度、立場によって評価が大きく変わります(例:好きな人に言われれば嬉しい褒め言葉も、上司に言われればセクハラ発言になる)。つまり、違法とされるセクハラ発言の周囲には、広いグレーゾーンが存在します。

しかし、グレーゾーンだからといって、境界線を狙った際どい発言をするのは極めて危険であり、その意識だとトラブルを深刻化させてしまいます。自分にセクハラの意図がなくても、関係性や「職場」という性質から、「不快に思われる可能性はないか」という相手視点を常に持つことが重要です。

セクハラ発言にならない言いかえ表現を知る

セクハラ発言を防ぐには、社会人として適切な言い換え表現を身につけることが有効です。

明らかな性差別発言は別として、セクハラ発言の中には、言葉選びを少し変えるだけで問題を回避できるケースも少なくありません。

  • 食事へ誘う場合は「みんなで食事に行きませんか」と言う。
  • 業務上必要な質問について、育休・産休などの制度上必要な理由があることを事前に説明してから聞く。
  • 相手の評価は外見や容姿ではなく、仕事ぶり・成果・努力・姿勢を褒める。
  • 特定の性別にしか通用しない表現は避ける。

言葉だけでなく、発言に伴う行動にも配慮が必要です。用件があるからといって身体に触れたり、距離を詰めたりするのではなく、正面に立ち、言葉で伝え、相手の反応を尊重する姿勢を心がけましょう。

セクハラ発言は、意図の有無にかかわらず成立するので、自分がどう思って発言したかではなく、「相手がどう受け取ったか」「職場環境にどのような影響を与えるか」を常に意識することが大切です。

セクハラの加害者の対応」の解説

【被害者側】セクハラ発言を受けたときの対処法

次に、セクハラ発言を受けたとき、被害者側が取り得る対応について解説します。

セクハラ発言の具体例を知ることで、我慢せずに済みます。セクハラ発言の標的となってしまった場合、被害者は無理に耐える必要はありません。状況や程度に応じて、以下のような対応を段階的に講じてください。

セクハラ発言を明確に拒否する

セクハラ発言の問題は、加害者に不適切であるという自覚がないケースが多いことです。

そのため、可能な限り早い段階で、「不快である」「やめてほしい」と明確に意思表示し、気付かせることが重要です。セクハラ発言を放置すると被害は加速し、「この人は性的な話題も大丈夫だ」と思われ、周囲にも無自覚なセクハラが広がるおそれがあります。

強く指摘しにくい気持ちは理解できますが、冗談っぽく伝えるだけでは真意が伝わらず、「ふざけ合い」と受け取られる危険もあります。上下関係や職場の雰囲気から直接伝えるのが難しい場合は、後述する社内窓口や弁護士を通じた対応も検討してください。

上司や人事部、社内窓口に相談する

加害者に直接伝えるのが難しい場合や、拒否してもセクハラ発言が止まらない場合は、信頼できる上司や人事部、社内のハラスメント相談窓口に相談するのが有効です。

社内窓口に相談したにもかかわらず、注意指導がされず、被害が放置されたり、相談したことを理由に不利益な扱いをされたりすれば、会社の対応が不適切です。この場合、次章の通り、安全配慮義務違反を理由として会社の責任を追及できます。

なお、セクハラ発言は証拠に残りにくいため、できる限り録音しておくとともに、相談の際は、日時・場所・発言内容などをメモにまとめておくと状況を理解してもらいやすいです。

加害者と会社に慰謝料を請求する

セクハラ発言は、被害者の人格権や名誉を侵害し、精神的苦痛を与える違法行為です。

社内での話し合いや相談でも解決しない場合には、社外、つまり、法的な手段での解決を検討するほかありません。セクハラ発言が不法行為(民法709条)と評価されれば、精神的苦痛に対する慰謝料を請求することができます。また、性的関係を強要されるなどして心身に不調を来した場合は、治療費などの損害賠償を請求できるケースもあります。

この際、直接の加害者だけでなく、会社の責任を問うことも可能です。セクハラ対策を怠ったり、相談を受けながら放置したりといった事情があれば、安全配慮義務違反の責任が生じるからです。

セクハラの慰謝料の相場」の解説

社外の第三者機関を利用する

社内での解決が難しい場合には、社外の第三者機関を利用することも検討しましょう。

弁護士に相談する

セクハラ発言が法的に問題となるか、どのような対応が可能かは、弁護士に相談してアドバイスを得ることができます。弁護士は、内容証明を送ることで会社に警告し、慰謝料請求の交渉や裁判についても被害者本人に代わって進めることができます。加害者や会社との間に入ることで、直接対峙する精神的負担を減らせるメリットがあります。

労働問題に強い弁護士の選び方」の解説

公的相談窓口に相談する

公的機関の相談窓口を利用する方法もあります。セクハラ発言について相談できる代表的なものは、労働局(雇用環境・均等部(室)、総合労働相談センターなど)があります。重度のセクハラで労災が問題になるケースは、労働基準監督署に相談することも可能です。公的機関はいずれも、無料で相談できる点がメリットとなります。

犯罪行為として告訴する

セクハラが発言にとどまる場合でも、内容や態様によっては、名誉毀損罪(刑法230条)、侮辱罪(刑法231条)といった犯罪に該当します。執拗なセクハラ発言を伴う言動は、つきまとい行為としてストーカー規制法違反となり、警察が介入するケースもあります。

刑事責任を追及する場合、警察に相談し、被害届の提出や告訴を行います。どの段階で刑事手続きを選択すべきかについても、事前に専門家へ相談しておくことが重要です。

犯罪になるセクハラの対応」の解説

セクハラ発言を防止するのは会社の義務

セクハラの防止は、法律上、事業主(会社)に課された義務です。男女雇用機会均等法は、職場で行われる性的な言動によって、労働者が不利益を受けたり、就業環境が害されたりすることのないよう必要な措置を講じることを求めています。具体的な内容は、いわゆるセクハラ指針(厚生労働省「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」)に詳しく定められています。

セクハラ指針では、会社に対し、例えば次のような措置を講じることを求めています。

  • セクハラを許さない方針の明確化と周知
  • 相談窓口の設置と適切な運用
  • 相談があった場合の迅速・公正な調査
  • 被害者への配慮と不利益取扱いの防止
  • 再発防止のための教育・研修の実施

企業は、法律と指針に基づいて適切な対策を講じなければならず、これを怠り、セクハラ発言が放置された場合、加害者個人だけでなく、会社自体の法的責任も問題となります。

特に、言葉によるセクハラは、加害者が無意識に、しかも継続して行うケースが多いため、監視が難しい特徴があります。そのため、軽視せず、日頃から「セクハラ発言は絶対に許さない」という姿勢で指導、教育、啓発を行うことが重要です。

【まとめ】セクハラにあたる発言の一覧

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、言葉によるセクハラ、いわゆるセクハラ発言について、一覧で解説しました。

セクハラ発言の被害に遭っている方はもちろん、「問題があると指摘されたが、本当にセクハラなのか分からない」と不安を感じる方も、判断の目安として参考にしてください。

セクハラ発言となる言葉を全て網羅するのは難しく、紹介した一覧もあくまで「氷山の一角」で、その周囲には判断が分かれるグレーゾーンが数多く存在します。典型例を知ることで「無自覚にセクハラ加害者になってしまう」「不快に感じながらもセクハラ発言か判断できず我慢してしまう」といったトラブルを未然に防ぐことができます。

セクハラ発言の被害を減らすには、発言者自身が、意図の有無にかかわらず相手に不快感や苦痛を与えるおそれがあることを理解し、日頃の言動に注意を払うことが重要です。セクハラ発言を放置すれば、より深刻なハラスメントや法的トラブルに発展するおそれがあるので、初期の段階で弁護士に相談することを検討してください。

この解説のポイント
  • 発言のみで、身体的接触がないと軽視されがちだが、違法なセクハラである
  • セクハラ発言には様々な種類があるが、グレーゾーンの判断が重要
  • セクハラ発言となる言葉の具体例を知ることで、セクハラ防止につながる

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