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浅野 英之
弁護士
弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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退職届の書き方と出し方は?手書きやパソコンでもよい?簡単にわかる見本・例文

退職を決意したときに必要となるのが「退職届」です。

退職届を提出すると「自主退職(辞職)」となりますが、「どう書けばいいのか」「手書きとパソコンどちらがよいのか」「いつ、どのように提出すべきか」と迷う人も多いでしょう。退職届はシンプルに見えて、書き方や出し方を誤ると、会社とのトラブルに発展する危険もあります。

今回は、退職届の書き方と出し方について、基本的なルールと、すぐに使える見本・例文、正しい提出方法まで、労働問題に強い弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 退職届は、労働者が会社に退職の意思を通知する正式な書類である
  • 退職届には、タイトル・提出日・宛先・所属・氏名・退職日・理由を記載する
  • 内容は簡潔に「一身上の都合」などと明記し、冗長な説明は不要

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

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退職届とは

退職届とは、労働者が会社に対し、退職の意思を一方的に通知する文書です。

法律上、期間の定めのない労働契約であれば、労働者はいつでも退職の意思表示が可能で、会社の承諾がなくても、2週間が経過した後に契約が終了します(民法627条1項)。そのため、退職届は、単なる「お願い」ではなく、確定した意思の通知という性質を有しています。

このような退職届の性質から、提出後の撤回は難しいとされており、会社に受理された時点で、退職の意思表示としての効果が生じます。

退職届は、労働者が一方的な意思により会社を辞める「自主退職(辞職)」の場面で用いられるのが基本ですが、勧奨に応じて退職する場合や、定年退職、期間満了などの際にも、会社から提出を求められることがあります。

退職願との違い

退職願は、退職届とは異なり、会社に対して退職を願い出るための書類です。

退職願は、「退職したい」という希望やお願いを意味し、会社の承諾を求める書類である点で、「退職します」という確定的な通知である退職届とは異なります。退職願は、会社が承諾して初めて退職が成立する性質を有するため、承諾前であれば撤回可能とされています。

なお、退職願を提出し、承認を得た上で退職届を出すという運用を取る会社もあります。

退職届と退職願の違い」の解説

辞表との違い

辞表は、役員などの経営側にある者が、職を辞する際に提出する文書です。また、公務員が退職する際にも、辞表が提出されることがあります。一般の会社員(労働者)は、辞表ではなく「退職届」または「退職願」を使用するのが適切です。役員と会社の関係は委任契約であるのに対し、会社と労働者の関係は雇用契約であり、契約の性質に沿った文書を用いるべきだからです。

会社の辞め方」の解説

退職届の書き方

次に、退職届の書き方について解説します。

退職届の書き方に法律上のルールはないものの、「退職する」という意思を確定的に伝えることが最重要です。退職の効果を正しく生じさせるために、必要な項目や書き方を理解してください。

退職届に書くべき項目

退職届には、次の項目を盛り込む必要があります。必要な情報が不足すると、希望する退職の効果が生じないおそれがあるため注意してください。

タイトル

書面の冒頭中央に「退職届」と明記します。これにより、退職の意思を示す書類であると明確にすることができます。

提出日

退職届に記載する日付は「作成日」ではなく「提出日」です。

退職届は、会社に到達したときに効果を生じるからです。西暦・和暦のどちらでも効果は変わりませんが、社内の書式に合わせるのが無難です。

宛先

退職届の宛先は、会社名と代表者名(通常は代表取締役)を正式名称で記載します。敬称として「殿」を付けるのが一般的です。

退職届は、人事権を有する役職者に届いてはじめて効力が生じるため、会社の代表権を有する人に宛てて出すのが適切です。人事部などが窓口として指定されている場合には会社の指示に従います。

所属・氏名

自分の所属する部署名と氏名を記載します。

これにより、退職届の意思表示の主体を明らかにします。手書きの場合は署名して末尾に押印することで、正式な書類であることを示せます。パソコンの場合は記名でも構いませんが、署名は手書きで行った上で押印する方が、正式な書類という印象が生まれます。

本文(退職日・退職理由・退職の意思表示)

退職届の本文では、退職日・退職理由・退職の意思表示を記載します。

本文の書き出しには一番下の行に「私儀(わたくしぎ)」または「私事(わたくしごと)」と記載します。これは「自分の個人的な事柄ですが」とへりくだる意味を持っています。冗長な説明は不要であり、要件のみを簡潔にまとめてください。

退職の意思表示が確定的なものであることを示すため、「退職します」と断定的に記載します。「退職させていただきたく存じます」など、希望に過ぎないとも読める表現は、退職届としては不適切です。

退職日の書き方

退職日は、会社と合意済の場合にはその日を、会社が退職を拒否するなど退職日の合意ができない場合は「退職届とは」で解説した民法のルールに従い、提出日から2週間以降の日付を指定します。また、有給休暇の残日数がある場合は、全て消化した後の日とすべきです。

退職は2週間前に申し出るのが原則」の解説

退職理由の書き方

退職理由は、自己都合退職の場合、「一身上の都合」と記載する例が多いです。

この表現は、プライベートな事情や会社への不満をあえて書かないための定型表現として無難であり、実務上よく用いられます。会社との見解の相違も生じにくく、トラブルを避けられます。

なお、例外的に、後の対立が予想される場合に会社都合退職であることを明記したり、強い引き止めが予想される場合に理由を記載したりするケースがあります。

退職届の形式面

最後に、退職届の形式面のポイントも押さえておきましょう。

  • 用紙のサイズや種類
    退職届はA4サイズの用紙で作成するのが一般的です。コピー用紙や便箋など、破れたり滲んだりしにくい紙を使用してください。
  • 筆記具の種類
    手書きの場合、黒のボールペンで丁寧に記載してください。修正液や修正テープは使用せず、誤記がある場合は書き直すようにしてください。鉛筆やシャープペン、消えるペンなどの使用は控えましょう。
  • フォントや様式など
    退職届は、正式な書類なので、ビジネス文書に準じた適切なフォントと書式で記載してください。

退職届の見本・例文

退職届の書式・テンプレートは、次の通りです。

退職届

20XX年XX月XX日

株式会社○○
代表取締役社長 ◯◯◯◯ 殿

【所属部署・氏名】

私事

この度、一身上の都合により、20XX年XX月XX日をもって退職いたします。

在職中は格別のご指導、ご高配を賜り、誠にありがとうございました。心より感謝申し上げます。

以上

パソコン、手書きのいずれの場合でも、内容はシンプルで、定型のものとすることが重要です。会社所定のフォーマットがあることもあるので、事前に確認しておきましょう。

形式を守ることで、余計なトラブルを防ぎ、円満退職につながります。

退職届は手書きとパソコン作成どちらがよい?

結論として、退職届は手書き・パソコンいずれでも法的な問題はありません。

ただし、会社の慣習や職場の雰囲気によって適切な方法が異なるため、それぞれの特徴を理解して選ぶことが重要です。印象悪化によるトラブルを避けるためにも、迷った場合は就業規則を確認した上で、直属の上司や人事部などに確認しておくと確実です。

手書きのメリット・デメリット

退職届を手書きすることで、丁寧な印象を与えることができます。

手書きの方が誠意が伝わりやすく、特に、年配の上司や伝統を重んじる文化のある職場では好印象を持たれる傾向があります。一方で、書き直しの手間がかかったり、丁寧に書くための労力が必要となったりするデメリットがあります。

パソコン作成のメリット・デメリット

退職届をパソコンで作成する方が、簡単で修正しやすいメリットがあります。

書式に社名や自分の名前を書き入れればそのまま利用でき、退職直前の忙しい時期でも、速やかに作成できます。一方で、手書きに比べて形式的になりやすく、事務的でドライな印象を与えます。古い価値観を持つ人から、「パソコン作成は失礼だ」という反感を買うおそれもあります。

退職届の出し方

退職届は、内容だけでなく、「いつ・どのように提出するか」も重要です。

提出方法やマナーを誤ると、円満退職の支障となるおそれがあるため、退職届の出し方も理解しておきましょう。なお、円満退職が可能な場合は、突然退職届を出すのではなく、事前に直属の上司に根回しをしてから進めるのがおすすめです。

退職届を提出するタイミング

退職届の提出時期は、法律に従えば、退職希望日の2週間前が目安となります。

前述の通り、期間の定めのない労働契約は、退職の意思表示から2週間で契約終了が可能だからです。ただし、実務上は、就業規則で1ヶ月〜3ヶ月前と定める例が多く、業務の引き継ぎが必要であるといった理由で、会社の引き止めを受けることも少なくありません。

そのため、円満退職を目指す場合は、就業規則上のルールを確認し、社長や上司と事前に退職時期を調整した上で退職届を提出するという対応がよいでしょう。業務の引き継ぎを入念に行い、会社に迷惑をかけないよう配慮すれば、トラブルを避けることができます。

退職届の提出が遅すぎると、引き継ぎが不十分となり、人間関係が悪化したり、円満退職の支障となったりするおそれがある一方、早すぎても、仕事のモチベーションが低下したり、退職日までに嫌がらせを受けたりするリスクがあります。

退職を伝えるのが早すぎるのは問題?」の解説

退職届の提出方法(手渡しか郵送か)

退職届の出し方には、手渡しと郵送の2つの方法があります。

原則としては、直属の上司に手渡しする方法によりますが、やむを得ず出社できない場合には、郵送する方法が選ばれることもあります。

退職届を手渡しする場合の注意点

手渡しする場合、口頭で退職の意思表示を伝えた上で行うのが通常です。

突然「退職します」と切り出すのではなく、面談の時間を取ることを依頼してください。面談の場では、口頭で退職の意思を伝えた上で退職届を手渡し、感謝の言葉を伝えるのが誠実です。一方で、対面すると引き止めを受けやすいため、断固たる姿勢で臨みましょう。

退職のタイミングでは、様々な労働問題が生じやすいため、感情的にならず冷静に伝えることを心掛けてください。あわせて、必要な引き継ぎや退職日までのスケジュール、具体的な退職手続きについても聞いておきましょう。

退職届を郵送する場合の注意点

やむを得ず出社できない場合など、手渡しが難しい場合は郵送で提出します。

例えば、休職中で出社が困難な場合、既に最終出社日を過ぎている場合のほか、ハラスメントがあって出社が苦痛な場合も、郵送による対応が適切です。

郵送だと、手渡しよりも事務的な印象を与えるため、「無礼だ」といった評価を避けるために、添え書きを同封するのがおすすめです。対面であれば口頭で伝えられるような感謝の言葉などは、添え書きに記載しておいてください。

退職届が確実に会社に到達したことを証明するため、追跡可能な方法を利用しましょう。強硬に拒否されると予想できる場合は、内容証明で証拠化するのがよいでしょう。

労働問題に強い弁護士の選び方」の解説

提出前に退職届のコピーをとる

退職届を作成し、封筒に入れる前に必ずコピーをとり、手元に保管しておきましょう。

いつ、どのような内容で退職の意思を伝えたかを証明する証拠となり、会社側が受け取りを拒否したり、紛失したりといったトラブルが発生した場合に役立ちます。悪質な引き止めに遭って弁護士へ相談する際にも、提出した退職届のコピーが重要な参考資料となります。

労働問題を弁護士に無料相談できる?」の解説

退職届の封筒について

手渡しにしても郵送にしても、退職届は封筒に入れて提出します。

封筒の選び方

退職届を入れる封筒は、白色で無地の二重封筒を選ぶのが通常です。

封筒のサイズは、長形3号(A4三つ折り)がよく使用されます。中身が透けないかどうかを事前に確認しておきましょう。手渡しの場合は、郵便番号の赤枠の印刷がないものを使用してください。茶封筒などは事務的な用途に使われることが多いため、退職届を入れるのには適していません。

封筒の書き方

封筒の表面中央に「退職届」と記載し、裏面の左下に自身の所属部署と氏名を記載します。郵送の場合、表面に会社の住所と代表者名を書き、赤いボールペンで「退職届在中」という文言を書き添えておくと、重要な書類であることが確実に伝わります。

封筒への入れ方

退職届は、記載面を内側にして三つ折りにします。

封筒に入れる際は、封を開けたときに用紙の右上部分が最初に見える向きにしてください。手渡しの場合は、その場ですぐに中身が確認できるよう、封をせずに折り曲げるだけにします。一方、郵送の場合には封をして綴じ目に「〆」と記載します。

退職届をめぐるトラブルを防ぐための注意点

退職のタイミングは、在職中に我慢していた不平不満が表出し、トラブルになりやすいため注意が必要です。退職届をめぐるトラブルは、提出時期や会社からの不誠実な対応によって起こることが多く、労働者側でも、適切な対処法を知っておかなければなりません。

繁忙期を避けて余裕をもって準備する

退職届の提出は、繁忙期を回避するのがよいでしょう。

繁忙期に退職の意思を示すと、人員不足によって業務に支障が生じやすいため、円満退職を目指すのであれば避けるべきです。また、忙しい時期に提出することで、「協調性に欠ける」「空気が読めない」といったネガティブな印象を与え、会社の対応が悪化するおそれもあります。

とはいえ、退職を希望する人にとって、早く辞めたい気持ちも理解できます。適切なタイミングを選ぶには、余裕を持って準備し、計画的に進めることが重要です。時間的な余裕があれば、会社にとっても自身にとっても不利益のないタイミングを見計らうことができます。

不当な退職の引き止めには応じない

労働者には「退職の自由」があり、原則として自由に会社を辞めることができます。

そのため、退職の意思を明確に示したにもかかわらず、しつこく引き止める行為は、行き過ぎれば違法となる可能性が高いです。不当な引き止めに応じる必要はありません。「退職届を預かっておく」といったように上司に保留される場合も、受領権限のある人にたどり着かなければ、いつまで経っても退職の効果が生じなくなってしまいます。

在職強要が続く場合、意思表示を記録に残すため、退職届を内容証明で送付する方法が有効です。また、期間の定めのない雇用契約は2週間で退職可能とされるため、これより一方的に不利な就業規則の規定は、公序良俗(民法90条)に反して無効となります。

会社側の対応が不誠実で、円満退職が難しいと感じるときは、弁護士を通じて退職の意思を伝えたり、退職代行を依頼したりすることも検討してください。

退職予定者へのいじめ(ヤメハラ)」の解説

退職届の書き方と出し方に関するよくある質問

最後に、退職届の書き方と出し方に関するよくある質問に回答しておきます。

退職届は出さないといけない?

法律上は、退職届の提出は必須とはされていません。

労働者からの退職の意思表示は口頭でも有効であり、退職は成立します。ただし、実務上は、退職日の認識違いを防いだり、会社が引き止めを行った際に希望通りに退職したりといった点で、退職届を出しておく意義は大きいです。

対立するケースでなくても、会社側からも、社内手続きを円滑に進めるために退職届を求められるのが通常です。

退職届はメールやLINEでも可能?

前述の通り、退職届は必須ではありません。書面でなく、メールやLINEで退職の意思を表示することも、法的には問題ありません。

ただし、メールやLINEは軽視され、会社から正式な手続きとして扱われないおそれがあります。トラブルになった際にも、書面による証拠が重視される傾向があります。そのため、対面で手渡しするのが難しいとしても、郵送などの方法により、書面による退職届を提出するのが適切です。

有給消化中でも退職届の提出は可能?

有給休暇の消化中でも、退職届の提出は可能です。

前述の通り、期間の定めのない社員の場合、退職の意思表示から2週間で労働契約が終了するため、有給休暇の残日数の多い人の場合、先に有給消化を伝えた上で、その消化期間中に退職の意思を伝えることも、理論上不可能ではありません。

ただし、このような退職の仕方は、業務の引き継ぎが困難になるなど会社に損害が生じるおそれがあり、トラブルになりやすいため避けた方が無難です。

退職したらやることの順番」の解説

【まとめ】退職届の書き方と出し方

弁護士法人浅野総合法律事務所
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今回は、退職届の書き方と出し方について、詳しく解説しました。

退職届は、退職の意思を会社に伝えるための重要な書類です。基本的なルールを押さえれば決して難しくありませんが、書き方と提出方法には注意が必要となります。内容は簡潔にまとめ、「一身上の都合」という退職理由と退職日を明記するのがポイントです。手書き・パソコンのいずれでも問題はなく、会社の慣習やビジネスマナーを踏まえた提出方法を心掛けましょう。

提出のタイミングや渡し方について、円満退職を目指すのであれば、事前に就業規則を確認し、丁寧に対応すべきです。法律上は、期間の定めのない社員は、退職の意思表示から2週間を経過した時点で労働契約が終了することとなっています。

万が一、退職に伴うトラブルが予想されるなら、事前に弁護士に相談してください。

この解説のポイント
  • 退職届は、労働者が会社に退職の意思を通知する正式な書類である
  • 退職届には、タイトル・提出日・宛先・所属・氏名・退職日・理由を記載する
  • 内容は簡潔に「一身上の都合」などと明記し、冗長な説明は不要

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