解雇をめぐる争いの結果、金銭解決を選択することがあります。
不当解雇は無効となるため復職が可能ですが、現実的には、解雇された職場に戻りたくない労働者も多くいます。このとき、会社から解決金を受け取って退職するのが、「解雇の金銭解決」です。当事務所にも、次のような相談が寄せられています。
- 「不当解雇には納得がいかないが、会社に戻りたくはない」
- 「正当な理由なく解雇されたことについて、補償を得たい」
- 「会社が提案してきた解決金が妥当かどうか判断できない」
解決金の金額に、法律上の基準はありません。そのため、相場を理解しておかないと、会社の提示額が妥当かどうかを判断できずに和解し、後悔するおそれがあります。
今回は、不当解雇の解決金について、相場の目安、金額の決め方、増額のポイントなどを、労働問題に強い弁護士が解説します。
- 不当解雇の解決金(和解金)は、労使の本音が一致した譲歩の結果である
- 「復職を求めない(退職する)」という譲歩が可能なら、金銭解決を選択できる
- 不当解雇の解決金の相場は、解雇の有効性やバックペイ額を踏まえて決まる
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不当解雇の解決金(和解金)とは

不当解雇の解決金とは、解雇の有効性を争った結果、会社から一定の金銭を受け取って退職する形で紛争を解決する場合に支払われる金銭です。実務では「解決金」と呼びますが、一般には「和解金」と表現されることもあります。
不当解雇の無効を求めて争う「地位確認請求(労働者としての地位を確認する請求)」では、勝訴して解雇が違法・無効となれば、労働者は地位を失わず、原則として復職します。
しかし、「建前」としては解雇の無効を求めていても、労使の「本音」は一致しており、復職ではなく、金銭を支払って退職する解決が選択されることが多いのが実情です。

- 会社側の本音と建前
- 建前:解雇は有効である。
- 本音:解雇した社員の復職は望まない。退職という結論になるなら、必ずしも解雇が有効であることには固執しない。
- 労働者側の本音と建前
- 建前:解雇は無効である(復職を希望する)。
- 本音:解雇された会社への復職は現実的ではない。ただし、解雇という記録が残ることは避けたい(特に、懲戒解雇のケース)。
したがって、解決金は、法律で認められた請求権ではなく、解雇の不利益を軽減し、労使の譲歩によって紛争を終結させるための手段として、実務で広く用いられます。以下ではまず、解雇の解決金がどのような性質の金銭かについて解説します。
解決金の内訳(賃金補償と慰謝料の違い)
「解決金」という名称で一括して支払われる金銭には、複数の要素を含んでいます。
主な内訳とされるのが「賃金補償」と「慰謝料」です。その割合はケースによりますが、解雇の慰謝料が認められる場面は例外的なので、大半は「賃金補償」だと考えるべきです。
「解決金=賃金補償」という考え方
解雇がなければ本来受け取れたはずの賃金に相当する部分です。
最後まで争って勝訴し、解雇が無効と判断されれば、労働者の地位が続いていたことになり解雇期間中の未払い賃金(バックペイ)を受け取ることができます。そのため、現時点で争いを止めて金銭で解決するなら、生活に支障が出ないよう相当額の解決金を受け取るべき、という考え方です。
この考え方から、解決金は「月給の何ヶ月分か」という形で、解決時までのバックペイを基準に判断されるケースが多いです。
「解決金=慰謝料」という考え方
一方、悪質な不当解雇をされた場合、慰謝料を請求することができます。そのため、解雇を金銭で解決するなら、その解決金の中には慰謝料的な要素も含むと考えられます。
ただし、解雇の慰謝料が認められるのは、悪質性の高いケースに限られるため、金銭解決する際には賃金補償と合わせて総額として評価されることが多く、「賃金補償はいくら、慰謝料はいくら」といった区別はしないのが実務です。
不当解雇の典型例と解雇が有効となるケースの違い
以上の通り、解決金が受け取れるのは、不当解雇と判断される可能性が高く、会社が「金銭を支払ってでも労働者に戻ってきてほしくない(退職してほしい)」と考えるケースです。そのため、前提として、自分の解雇が不当解雇に当たる可能性があるかを把握する必要があります。
解雇は、解雇権濫用法理により、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には違法・無効となります(労働契約法16条)。

不当解雇と判断される典型例は、解雇理由が真実でなかったり曖昧であったり、注意・指導や配置転換といった段階を踏まずに突然辞めさせられたりするケースです。会社側に解雇理由を裏付ける十分な証拠がないケースも、不当解雇と評価される可能性があります。
一方で、解雇理由が明確に示され、証拠や手続きの面でも問題がない場合、解雇が有効と判断されることもあります。解雇が有効となる場合、会社側が「解決金を支払って退職に合意してもらうより、徹底して争って勝訴すべき」と考えれば、解決金が提案されないこともあります。
復職を目指すか、金銭解決とするかの選択
不当解雇を争う場合、復職か金銭解決かを戦略的に選択する必要があります。
法律上は、解雇が無効であれば復職が原則ですが、解雇をめぐる対立が激化していたり、ハラスメントがあるなど職場環境に問題があったりすると、復職を望まない労働者もいます。
前述の通り、金銭解決はあくまで労使の「本音」が一致した場合の解決手段なので、解雇の有効性や解決金額について労使の考えに乖離があると、争い続けるしかないこともあります。
復職を目指すか、金銭解決を選択するかについては、それぞれメリット・デメリットがあるため、いずれの方針とするかは労働者の希望によっても異なります。
【復職を目指す場合のメリット】
- 解雇の違法性を明確にできる。
- 雇用関係が継続され、キャリアの空白を防げる。
- 解雇期間中の未払い賃金(バックペイ)を請求できる。
【復職を目指す場合のデメリット】
- 職場環境や人間関係に問題があると、現実的に難しいことがある。
- 会社との信頼関係を回復しづらい。
- 解決までに時間がかかり、精神的、金銭的な負担が拡大しやすい。
【金銭解決を選択する場合のメリット】
- 紛争の長期化を回避できる。
- 一定額の金銭補償を確保できる。
- 不満のある会社に戻る必要がない。
【金銭解決を選択する場合のデメリット】
- 会社側の提示額の判断を誤ると、損をする結果となる。
- 会社に戻れないので雇用保証はない。
- 和解成立後の追加請求は不可。
復職と金銭解決のいずれを選択すべきかに正解はないものの、戦略的に判断する上では、解決金の相場や金額が重要な考慮要素となります。
「解雇を撤回させる方法」の解説

不当解雇の解決金の相場
次に、不当解雇の解決金の相場について解説します。
解決金には、法律で定められた明確な基準はありません。そもそも解決金は、法律上の請求権があるわけではなく、労使間の交渉や労働審判などにおける合意によって決められます。その金額は、個別の事情や交渉状況によって大きく変わります。
とはいえ、実務では一定の考え方や目安があるため、解決金の相場感を把握しやすいよう、以下では3つの観点から整理します。

解雇の有効性に関する見通しの違い
解決金の相場を左右する最大の要素が、解雇の有効性に関する見通しです。
実務では、解雇の有効性・正当性の強弱と、それにより会社が敗訴した場合のバックペイの金額によって解決金の水準が決まっていると言っても過言ではありません。
正当な理由があると考えられる解雇の場合
解雇理由にも手続きにも問題がない場合、解雇が有効と判断される可能性が高いです。労働者側には不利な見通しであり、会社側では、解決金を支払って和解する必要性が低いと考えることも多いため、解決金は低額にとどまる傾向にあります。
もっとも、会社側としても紛争を早期に終わらせるメリットを感じれば、月額賃金の1ヶ月〜2ヶ月分程度の解決金が提示されることがあります。
正当性に争いがある解雇の場合
解雇の有効・無効について判断が分かれるケースでは、労使双方にリスクがあります。
この場合、交渉や労働審判で労働者が保護される可能性があるため、リスクを重く見た会社側から解決金が提示されることがあります。会社の見立てにもよりますが、月額賃金の3ヶ月〜6ヶ月分程度を目安とした解決が図られる例が多いです。
ただし、労働者側からの増額交渉が想定される場合、会社からの最初の提示額は1ヶ月分前後となることが少なくありません。
正当性が大いに疑われる解雇の場合
不当解雇の疑いが強いと、会社側のリスクは高く、解決金は高額になる傾向があります。
解雇が無効と判断されれば未払い賃金(バックペイ)の全額の支払い義務が生じるため、会社としても解決金について譲歩する動機が強い場面ということです。
このようなケースでは、月額賃金の6ヶ月〜12ヶ月分程度が解決金の目安となります。
明らかな不当解雇の場合
最後に解雇理由や手続きに重大な問題があるなど、不当解雇であることが明らかな場合、会社のリスクは非常に大きくなります。争いが長期化すれば、その分だけ未払い賃金(バックペイ)も高額になっていきます。
そのため、会社側の敗訴が非常に濃厚なケースでは、解決金は月額賃金の1年分以上が目安となります。解雇からの期間の経過によっては、さらに高額となることもあります。
「不当解雇に強い弁護士への相談方法」の解説

月収と勤務年数からみた目安
不当解雇の解決金は、実務上、「月額賃金の何ヶ月分か」という形で決めることが多いです。そのため、月収が高いほど解決金は高額になる傾向があります。
また、長期雇用が重視される慣行の根強い日本では、勤続年数が長い社員ほど、会社への貢献度や雇用保障への期待が大きいと考えられており、その分、不当解雇による不利益も重いと判断されやすいため、解決金が高額になる傾向があります。
なお、原則として月額賃金を基準に交渉を進めるのが実務ですが、賞与(ボーナス)の支給実績が安定しており、在籍していれば確実に支給されていたと認められるようなケースでは、賞与相当額も解決金の算定に反映される場合があります。
役職や企業規模による違い
同じ不当解雇であっても、役職や企業規模によって解決金の相場が異なることがあります。
例えば、管理職や専門職など、重要な責任を担う立場にあった場合、解雇による影響が大きいと評価され、解決金が高額化することがあります。
大企業ほど雇用保障への期待が大きく、解雇紛争が長期化した場合の社会的影響やレピュテーションリスクなどのデメリットを懸念する会社が多いため、比較的高めの解決金が提示される傾向にあります。また、外資系企業では、裁判によるリスクや費用を重く見て、「裁判を回避し、交渉で解決したい」という要望から、解決金の額が上昇する例が見られます。
一方、正社員か非正規雇用かという雇用形態によっても、解決金に差が生じる場合があります。雇用形態による差別は不当ですが、雇用保障の程度や労働者の期待が異なることから、結果として金額に違いが生じることはあり得ます。
会社から提示された条件のチェックポイント

解雇紛争では、解決金の提示は会社側からされることが多いです。
労働者側では、金額や和解条件が妥当か、足元を見られていないかを見極めなければなりません。解決金に法的な基準はなく、会社は「最低限の許容ライン」を提示するものと考えられるので、提示された条件を安易に受け入れると、不利益を被る危険があります。
以下のポイントを確認して、冷静に検討することが大切です。
- 解決金の金額が相場感から大きく外れていないか
「不当解雇の解決金の相場」を参照し、一般的な相場と比べて極端に低い提示でないかを確認してください。 - 未払い賃金やバックペイが含まれているか
解雇が無効となる可能性があるケースでは、解決金の提示額が未払い賃金(バックペイ)の額を大きく下回っていないかを確認してください。 - 解決金と引き換えに求められる条件が妥当か
守秘義務や接触禁止、競業避止義務といった金銭以外の条件が過大だと、今後のキャリアの支障となるおそれがあります。 - 税金や社会保険の扱いは考慮されているか
解決金に対する課税は、その実質的な性質により、①未払い賃金に相当する部分は「給与所得」、②退職金の性質を持つ部分は「退職所得」(退職所得控除が適用される可能性あり)、③精神的苦痛に対する慰謝料の性質を持つ部分は「非課税」というように分けて考えられます。ただし、名目だけで決まるわけではなく、金額や支払い方法によって判断が異なるため、和解条項を確定させる前に、弁護士や税理士などの専門家に確認するのがおすすめです。 - 他に請求していないものがないか
清算条項付きの書面に署名すると、解決金の受領と引き換えに、未払い残業代や退職金など、その他一切の請求権を放棄したものとみなされます。合意書に署名する前に、他に未払いとなっている金銭がないかを必ず確認してください。
会社から解決金を提示されたとき、その交渉姿勢もしっかり見極めましょう。
「今すぐ回答を求める」「この条件が最大であり、これ以上の交渉はしない」といった形なのか、それとも「一旦この提示額で検討してほしい」「裁判に移行するほどの気持ちがあるなら、増額の余地がある」ということなのかを見極めるべきです。このような内心が明確に表示されることは少ないですが、労働問題を多く扱った弁護士なら、ある程度読み取ることができます。
不当解雇の解決金の決め方と増額のポイント
「不当解雇の解決金の相場」はあくまで目安に過ぎず、実際の解決金額は、個別の事情や交渉の進め方によって増減します。以下では、解決金の金額を左右しやすい要素ごとに、労働者側として増額を目指すためのポイントを解説します。
不当解雇を強く主張する
解決金額に最も影響するのは、その解雇が有効と判断されるかどうかの見通しです。
解雇が無効と判断される可能性が高いほど、会社側は復職やバックペイといったリスクを避けるために、解決金の増額交渉に応じやすくなります。逆に、解雇が有効と判断される可能性が高いなら、会社が譲歩する余地も小さくなります。
労働者側としては、法律や裁判例の知識をもとに、不当解雇であることを強く主張することで会社にリスクを感じさせ、解決金の増額を試みるべきです。解雇の有効性について最終的には裁判所が判断するので、客観的な証拠を集めておくことが重要です。
手続きを戦略的に選択する
解決金の金額は、「不当解雇の解決金を受け取る方法と流れ」の通り、どの手続きで、どこまで争う姿勢を見せるかによっても変わります。
不当解雇の争いは、交渉・労働審判・訴訟の流れで段階的に進みますが、会社側は、交渉や労働審判で早期に終わると見込める場合には、解決金を抑えようとする傾向があります。そこで、労働者側としては訴訟も辞さない姿勢を示し、会社にリスクを意識させるのが有効な戦略です。実際に訴訟まで進むかどうかは別として、会社に「簡単には終わらない」と認識させることが、解決金を引き上げるための重要な交渉材料となるのです。

弁護士に依頼すれば、交渉段階でも「裁判に進む本気度が高い」と行動で示すことができます。
なお、労働審判や訴訟に進めば、労働者側にとっても敗訴リスクや費用・時間の負担などを気にしなければならないため、解決金の増額の可能性とリスクのバランスを調整しながら、どの段階で和解に応じるのかを戦略的に判断するようにしてください。
「会社を訴えるリスク」の解説

紛争が長期化するリスクを意識させる
解決までに時間がかかるほど、会社側の負担が大きくなり、解雇の解決金額に影響します。
特に、不当解雇であると認められる可能性の高い事案では、長期化するほど未払い賃金(バックペイ)が嵩み、負けたときの会社のリスクは高く見積もられます。
労働者側は、短期間では終わらない可能性があることを示唆し、会社が負う敗訴のリスク、バックペイや弁護士費用などのコストを意識させることで、解決金の増額を引き出す交渉が可能です。実際にも、証拠が多く、事実関係が複雑なケースは、労働審判で終わらず訴訟に移行するなど、長い年月がかかる可能性が高いです。
ただし、労働者側にとっても長期化すれば精神的な苦痛が増大するなど、大きな負担となります。そのため、「時間と金額のどちらを優先するか」は冷静に考えてください。
解雇の悪質性を具体的に示す
労働者側としては、解雇の悪質性を主張することが重要です。
解雇の態様が悪質である場合、慰謝料を請求できるケースがあります。慰謝料が認められやすいと会社が懸念すれば、提示される解決金も増額されやすくなります。単に「精神的につらかった」と述べるだけでなく、解雇通告が切迫していたこと、十分な説明がなかったこと、解雇時に人格否定などのハラスメントがあったことなど、解雇のどの点が悪質かを具体的に主張すべきです。
「不当解雇の慰謝料の相場」の解説

未払い残業代の請求を併合する
解雇の解決金だけでなく、在職中に発生した未払い残業代がある場合、あわせて請求することを検討しましょう。不当解雇をするような労務管理が杜撰な会社では、残業代に未払いがあることも少なくありません。客観的な証拠がそろっていれば、残業代を請求することで会社側の負担が増し、結果的に、和解で得られる金額を増やすことが期待できます。
会社の経営状況を見極める
解決金の増額を目指す一方で、会社の経営状態を冷静に見極めることも欠かせません。
会社の経営状況が悪く、十分な支払い能力がないと考えられる場合、高額な解決金を主張し続けても現実的に難しかったり、期間を経過するうちに倒産してしまったりといった危険があります。労働審判や訴訟といった法的手続きに進む前に、会社の資力を見極め、支払い可能な範囲の金額に調整することで、確実かつ早期に解決できるケースも少なくありません。
不当解雇の解決金を受け取る方法と流れ
最後に、不当解雇を争い、解決金を受け取る方法と流れについて解説します。実務では、交渉・労働審判・訴訟と段階的に進めていくのが通常です。

労働者は会社よりも立場が弱くなりやすいため、できる限り負担を抑えつつ解決を目指すためにも、まずは話し合いによる解決を試み、必要に応じて法的手続へと進むようにしてください。
交渉で解決金を受け取る流れ
不当解雇の争いは、まずは会社との任意交渉から始めます。
具体的には、解雇に不服があること、その理由などを整理して、内容証明を用いて解雇の撤回を求める通知を送付します。現行の労働法では、解雇トラブルを金銭で解決する制度がないため、交渉の出発点はあくまで「解雇は無効であり、労働者の地位がある」という主張(地位確認)です。
話し合いが進み、解決金をはじめとした条件について合意できれば、和解による解決となります。交渉で合意に至った場合、将来のトラブルを回避するため、必ず退職合意書や和解書といった書面を締結するようにしてください。
労働審判で解決金を受け取る流れ
交渉が決裂した場合、労働者側では労働審判を利用することが多いです。
労働審判は、労働者保護のために簡易・迅速かつ柔軟な解決を図る制度であり、その制度趣旨から、不当解雇の紛争では解決金によって終了するケースが非常に多いのが特徴です。
労働審判は原則として3回以内の期日で進められ、初回の期日では事実関係の整理が行われ、その後の期日では「調停」と呼ばれる話し合いが中心となります。この調停の場で、解雇の有効性について労働審判委員会の心証が示され、解決金額についての労使の調整が行われます。
ただし、解雇の有効性について労使の認識に乖離があるケースでは、労働審判では解決せず、訴訟に進まざるを得ないこともあります。
訴訟で和解金を受け取る流れ
労働審判が不成立となった場合や、審判に異議がある場合、訴訟に移行します。また、労働者側が復職を強く希望するケースでは、当初から訴訟提起を選択する場合もあります。
この経緯からして、訴訟になるケースは、交渉や労働審判よりも対立が激化しており、金銭解決で折り合う可能性は相対的に低く、徹底して復職を争う方針を取る人が多いのが特徴です。それでもなお、訴訟の途中で裁判官から和解が勧められ、労使双方が譲歩することで解決金を受け取って退職する形で解決するケースもあります。
訴訟で解雇を金銭解決する場合、交渉や労働審判より高額となる傾向があります。
ただし、注意すべき点として、裁判で勝訴して得られるのは「解雇が無効であり、復職できる」という結論であり、解決金ではありません。
解決金は法的な権利ではなく、あくまで労使の議論と妥協の産物として生じるものだからです。
労働者としては、解決金の釣り上げ交渉に固執するあまり、会社の態度を硬化させ、結果的に「勝訴したが、復職はしたくない」「解決金を受け取りたかったが、勝訴してしまったので復職するしかない」といった状況に陥らないよう、現実的な解決金の上限額も見定めておく必要があります。
「労働問題の種類と解決策」の解説

【まとめ】不当解雇の解決金(和解金)

今回は、不当解雇の解決金(和解金)についてのポイントを解説しました。
解雇トラブルを解決金を受け取って終了させる場合、相場を理解せずに進めると、不利な和解に応じるおそれがあります。解決金は一律に決まるものではなく、解雇の正当性、勤続年数、未払い賃金(バックペイ)や証拠の有無など、様々な事情を踏まえて決定されます。そのため、労働者側にとって有利な事情を把握し、戦略的に交渉しなければなりません。
会社側にとって紛争の長期化や敗訴リスクを避けられるメリットがある場合、解決金を増額するための交渉材料とすることが可能ですが、どの程度の金額を請求すべきか、どこで譲歩して和解に応じるべきかは、個別の事情を踏まえた難しい判断となります。
不当解雇の解決金について適切な判断をするには、法律だけでなく裁判例の知識や実務経験が必要です。会社の提示額が妥当かどうか迷うときは、早めに弁護士にご相談ください。
- 不当解雇の解決金(和解金)は、労使の本音が一致した譲歩の結果である
- 「復職を求めない(退職する)」という譲歩が可能なら、金銭解決を選択できる
- 不当解雇の解決金の相場は、解雇の有効性やバックペイ額を踏まえて決まる
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