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浅野 英之
弁護士
弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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失業保険は何年働いたらもらえる?12ヶ月ちょうどや一年未満の場合は?

早期に退職する場合でも「失業保険はもらえるのか」が気になるでしょう。

入社して日が浅くても、働き続けるのが難しいなら速やかに退職を検討すべきですが、まだ貯蓄が十分でない場合、失業保険の有無は切実な問題となります。

失業保険を受け取るには条件があり、一定期間、雇用保険に加入することが必要です。勤務年数が短い場合、この「加入期間」の条件を満たすかどうかで、受給の可否が分かれます。自己都合の場合は12ヶ月(一年)、会社都合の場合は6ヶ月(半年)が基本ですが、12ヶ月ちょうどや一年未満の場合など、ケースに応じて検討しておく必要があります。

今回は、「失業保険は何年働いたらもらえるのか」という加入期間の要件に絞って、判断基準について、労働問題に強い弁護士が解説します。

この解説のポイント
  • 失業保険を受給するには、一定期間、雇用保険に加入していなければならない
  • 雇用保険の最低加入期間は、自己都合なら12ヶ月、会社都合なら6ヶ月が基本
  • 一年未満の退職の場合、離職理由を争い会社都合扱いにしてもらえば受給可能

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解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所、労働者側の法律問題を扱う事務所の労働部門リーダーを経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。

不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、注目を集める労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。

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失業保険は何年働いたらもらえる?

失業保険を受給するには、雇用保険に加入し、働く意思と能力があり、求職活動を行うことが条件となります。この中でも、加入期間の条件には、一定の下限が定められています。

「会社を辞めれば誰でも失業保険をもらえる」というのは誤解です。実際は、一定期間を超えて雇用保険に加入しなければ、失業保険を受け取れません。そのため、「どれだけ働いていれば(雇用保険に加入していれば)足りるのか」を、退職前に必ず確認する必要があります。

雇用保険に一定期間加入することが条件

失業保険の受給は、雇用保険に一定期間加入することが条件となります。

具体的には、「雇用保険の被保険者期間が何ヶ月あるか」という点で判断されます。

被保険者期間は「年」ではなく「月」単位で数え、「1ヶ月」としてカウントされるのは、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または、労働時間数が80時間以上ある月とされます。そのため、シフト制の社員、パートやアルバイト、短時間勤務などで10日しか出勤せず、労働時間数も80時間未満の月や、休職していた月などは算入されないのが原則です。

なお、「会社で何ヶ月働いたか」にかかわらず、被保険者であった期間が重要です。企業の中には、加入義務があるのに雇用保険に未加入としている会社もあるので注意してください。

雇用保険に未加入だったときの対応」の解説

自己都合退職の場合の最低加入期間は12ヶ月

自己都合退職の場合、離職日以前の2年間に、被保険者期間が12ヶ月以上あることが必要です。つまり、1年間の加入が必要です。「12ヶ月以上」というのは「12ヶ月ちょうど」を含みます。

自己都合退職では、退職時期を自身でコントロールでき、いつ辞めるかは労働者が決められます(自分で退職時期を決められない辞め方は、自己都合ではなく会社都合です)。自分で退職時期を決められるので、最低加入期間も、比較的長めに設定されます。

失業保険の受給に要する加入期間に満たない場合、「今ではなく、もう少し勤務してから辞めよう」という選択も可能なので、退職時期は慎重に判断しなければなりません。

なお、「最後の月が11日未満である」など、「1ヶ月」としてカウントできない月が含まれると、1年働いても被保険者期間が12ヶ月に満たないおそれがあるので注意してください。

自己都合でも失業保険をすぐもらう方法」の解説

会社都合退職の場合の最低加入期間は6ヶ月

会社都合退職の場合、離職日以前の1年間に、被保険者期間が6ヶ月以上あれば受給資格が得られます。つまり、半年の加入で足り、最短6ヶ月の勤務で失業保険を受給できます。会社の倒産・解雇といった会社都合で離職した「特定受給資格者」のほか、正当な理由のある自己都合退職などの「特定理由離職者」の場合も、必要な加入期間は6ヶ月に緩和されています。

会社都合退職は、労働者の意思によらない離職であり、退職時期を選ぶことができません。そのため、手厚く保護されており、加入期間の要件が短く設定されています。

したがって、会社都合か自己都合かという退職理由によって、必要な被保険者期間の長さが変わる点が重要なポイントとなります。

なお、給付制限の有無や給付日数の面でも、会社都合退職の方が労働者に有利な扱いとなるため、どのような理由が「会社都合」に該当するかは理解しておいてください。

自己都合と会社都合の違い」の解説

65歳以上の場合の最低加入期間は6ヶ月

65歳以上の場合、「高年齢被保険者」に分類され、失業した場合は「高年齢求職者給付金」という一時金が支給されます。この受給のための加入期間の要件は、一般の失業保険とは異なり、離職日以前の1年間に、被保険者期間が6ヶ月以上あることが必要となります。

最低加入期間未満でも失業保険をもらえる方法

次に、最低加入期間より短い期間で退職せざるを得ない場合の対応を解説します。

失業保険は重要ですが、それだけを基準に退職時期を決めるべきではなく、受給できない可能性があっても退職すべき理由があるケースもあります。長時間労働やハラスメントなどの労働問題が蔓延する職場では、我慢して働き続けるより退職の方がよいこともあります。

この場合、最低加入期間よりも短い期間でも、失業手当をもらえる可能性のある方法を理解しておきましょう。

退職理由について争う

失業保険は何年働いたらもらえる?」の通り、受給に必要な最低加入期間は、自己都合か会社都合かという離職理由で異なります。労働者の保護が必要となる会社都合退職の方が、自己都合退職よりも必要となる加入期間が短く設定されるからです。

そのため、会社から自己都合退職扱いとされたことで受給資格が得られない場合(例:半年以上、1年未満で退職する場合など)、離職理由を争い、会社都合扱いとしてもらえれば、雇用保険の最低加入期間を超えることができ、失業保険を受け取ることができるようになります。

特定理由離職者となる場合

例えば、病気やケガ、出産や育児などの理由で離職した場合、「特定理由離職者」に該当し、失業保険の受給資格を得るのに必要な被保険者期間の要件は緩和されます。ただし、失業保険を受給するには、働ける状態にあることが前提となる点は注意を要します。

特定受給資格者となる場合

例えば、退職勧奨に従って退職した場合や、給与の減額、転勤、違法な長時間労働といった問題があった場合、たとえ会社が自己都合扱いとしても、「特定受給資格者」に該当するため会社都合であり、ハローワークに異議を申し立てることが可能です。

退職理由を変更する方法」の解説

転職前の加入期間を通算する

前職でも雇用保険に加入していると、その期間を通算できる可能性があります。

例えば、前職で雇用保険に6ヶ月加入し、その後に失業保険を受給せずに現在の会社で勤務を開始した場合、現在の会社で6ヶ月しか働いていなくても、通算して12ヶ月の加入実績となり、最低加入期間の要件を満たす可能性があります。

したがって、この場合、現在の会社での雇用保険の被保険者期間が短くても、加入期間を通算することで失業保険を受け取ることができます。

なお、失業保険を一度受給すると被保険者期間はリセットされます。その後に受給するには、加入期間の要件を再度満たす必要があります。「何年空いたか」ではなく「再び必要月数を満たしているか」で判断されることに注意してください。

労働問題に強い弁護士の選び方」の解説

納得のいかない退職には応じない

最低加入期間にわずかでも満たないと、「退職すると失業保険が受け取れない」という事態も起こり得ます。この状況では、納得のいかない退職に応じてはいけません。

退職は労働者の自由であり、退職勧奨は拒否できます。「自己都合で辞めてほしい」と言われたり、応じない場合の不利益を示唆されたりするのは違法の可能性もあります。さらに、同意なく辞めさせられるのは解雇であり、失業保険の扱いは会社都合退職となって、加入期間が緩和されます。

現時点で加入期間が足りない場合(例:あと1ヶ月働けば12ヶ月になるなど)、失業保険がもらえないかもしれない状況で、安易に退職に応じるのは避けるべきです。退職条件について会社と協議できるなら、会社都合扱いとすることを退職合意書などで明記しておくのが望ましいです。

雇用保険の加入期間に関するよくある質問

最後に、失業保険を受け取るための雇用保険の加入期間について、よくある質問に回答します。

12ヶ月ちょうどの場合は受給の対象?

自己都合退職の場合、離職日以前の2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あることが必要です。「以上」なので、12ヶ月ちょうどであれば要件を満たします。会社都合の場合は6ヶ月に緩和されるため、全く問題なく受給可能です。

「1年以上」というのは12ヶ月ちょうどで足り、13ヶ月は不要です。

ただし、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ないと「1ヶ月」とカウントされないため、最終月は注意が必要です。「12ヶ月ちょうどで退職した」と思っても、最終月を途中で退職して11日以上の勤務がないと「11ヶ月」とされ、自己都合退職では受給資格を満たさなくなるおそれがあります。

加入月数や賃金支払いの基礎となった日数は、離職票で確認できます。

一年未満の場合、失業保険は受け取れる?

雇用保険の加入が一年未満の場合、自己都合退職だと失業保険が受け取れません。

自己都合退職の場合は「12ヶ月以上」必要であり、一年未満しか被保険者期間がないと、たとえそれ以上勤務していても受給の要件を満たしません。

一方、会社都合退職なら6ヶ月以上あれば足りるため、一年未満でも失業保険を受給できる可能性があります。

半年勤務で自己都合退職したら失業保険はもらえない?

自己都合退職の場合、雇用保険への加入が12ヶ月必要なので、半年(6ヶ月)の勤務では失業保険は受給できないのが原則です。

一方で、会社都合なら6ヶ月で足りるため、半年勤務でも失業保険をもらえます。

ただし「在籍が6ヶ月」というだけでは足りず、被保険者であった期間が6ヶ月あり、各月の賃金支払いの基礎となった日数が11日以上あることが必要です。

なお、半年勤務で、自己都合で退職せざるを得ないケースでは、退職理由を争って会社都合扱いとする方法によれば、失業保険を受給できる可能性があります。

【まとめ】失業保険の最低加入期間

弁護士法人浅野総合法律事務所
弁護士法人浅野総合法律事務所

今回は、失業保険を受け取るための最低加入期間について解説しました。

退職や転職を考えるとき、失業保険は次の仕事が決まるまでの生活を支える大切な制度です。「もらえるはずだったのに加入期間が足りなかった」という事態を避けるために、雇用保険の加入期間のルールを理解しましょう(自己都合は12ヶ月・会社都合は6ヶ月が基本)。

必要な最低加入期間は、自己都合か会社都合かといった退職理由により異なります。12ヶ月ちょうどは含まれるのか、1年未満ではどうなるのかなど、ケースに応じた判断が必要となるため、退職前に正確な見通しを立てておく必要があります。

自分が失業保険の条件を満たすかどうか不安な方は、不測の事態を避けるため、退職を決断する前に弁護士に相談してください。

この解説のポイント
  • 失業保険を受給するには、一定期間、雇用保険に加入していなければならない
  • 雇用保険の最低加入期間は、自己都合なら12ヶ月、会社都合なら6ヶ月が基本
  • 一年未満の退職の場合、離職理由を争い会社都合扱いにしてもらえば受給可能

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