失業保険は、一度受給して再就職した後でも、条件を満たせば「再受給」できます。
ただし、再就職後の退職では、必ず受給できるとは限りません。前回の受給で支給日数を使い切っていないか、短期間で離職を繰り返していないかといった点には注意してください。正確に理解せずに退職してしまうと、想定していた給付を受けられないおそれがあります。
今回は、失業保険を再受給できる具体的な条件や手続き、いつからもらえるのかといった点まで、労働問題に強い弁護士が解説します。
- 失業保険は、一度受給後に再就職しても条件を満たせば再受給できる
- 前回の支給日数が残っていて、受給期間内(1年以内)であることが重要
- 再就職後に新たな受給資格を得ていれば、それに基づいた受給も可能である
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失業保険は再受給できる?

再就職に成功しても、残念ながら早期に退職してしまうことがあります。
失業保険は、一度受給した後でも、一定の条件を満たせば再受給できる可能性があります。ただし、無条件で何度も受け取れるわけではなく、次のケースに該当する必要があります。
- 前回の支給日数が残っている場合
- 再就職後に新たな受給資格を取得した場合
したがって、再受給するには、前回の支給日数を使い切らずに再就職し、受給期間内に再び離職した場合か、もしくは、再就職後に一定期間以上雇用保険に加入し、新たに受給資格を満たした場合のいずれかに該当する必要があります。つまり、前者は「前回の失業保険の続き」であるのに対し、後者は「新たな失業保険の受給」を意味しています。
一方で、次の場合は再受給が認められません。
- 前回の支給日数をすべて使い切っていた場合
- 再就職後の雇用保険加入期間が不足している場合
以上のことから、再受給の可否は、①前回の受給期間が残っているか、受給期間が満了していないか、②再就職後の被保険者期間がどれくらいか、③退職理由が自己都合か会社都合かといった点によって決まります。詳しい条件について、次章「失業保険を再受給できる条件」で解説します。
失業保険を再受給するための条件

次に、失業保険を再受給することができる条件について詳しく解説します。
前回の支給日数が残っている場合
第一に、前回の支給日数が残っている場合、再受給できる可能性があります。この場合、早期の離職によって失業保険を再受給するための条件は、次の通りです。
支給日数が残っていること
支給日数には、年齢や雇用保険の被保険者であった期間(加入期間)に応じた上限があります(所定給付日数は、自己都合は90日〜150日、会社都合は90日〜330日)。

失業保険を再受給するには、失業保険を受給していない、または、前回の受給時の支給日数が残っていることが条件となります。
受給期間内であること
支給日数が残っていても、受給期間が満了している場合は再受給できません。
失業保険は離職の翌日から1年間が受給期間とされ、再度の離職時にこの期間を経過していないことも条件となります。この期間内であれば、再就職後に短期間で離職しても、残日数の受給を再開できます。
新たな受給資格を取得していないこと
支給残日数の再受給は、新たな受給資格を取得していないことが条件です。
新たな受給資格がある場合は、「新たな受給資格を取得した場合」に従った受給が可能です(自己都合では12ヶ月、会社都合では6ヶ月の加入期間が新たに必要です)。
再就職手当を受け取った場合の注意点
再就職時に「再就職手当」を受け取った場合、その分も支給日数から控除されます。そのため、再就職手当を受け取ると、再受給できる金額が減る可能性があります。
新たな受給資格を取得した場合
前回の受給とは別に、再就職後に新たに受給資格を取得した場合、それに基づいた受給が可能となります。その際の条件は一回目の受給と同じであり、主に次の通りです。
雇用保険の加入期間が一定以上であること
離職日以前2年間に、被保険者期間が通算12ヶ月以上必要となるのが原則です。
特定受給資格者・特定理由離職者の扱い
ただし、特定受給資格者、特定理由離職者に該当する場合は、離職日以前1年間に、被保険者期間が通算6ヶ月以上あれば足ります。
特定受給資格者は、倒産や解雇などの会社都合退職の場合、特定理由離職者は、病気や介護などの正当な理由のある自己都合退職の場合が該当し、いずれも労働者の意に反する退職となるため、加入期間が緩和されたり給付制限が課されなかったりといった有利な扱いを受けることができます。
なお、本解説のように、再就職後すぐに退職するケースではこの要件すら満たせないこともあるため、「前回の支給日数が残っている場合」に従った再受給も検討してください。
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再就職後すぐに退職した場合も失業保険はもらえる?

再就職後、短期間で退職した場合でも、「失業保険を再受給するための条件」を満たせば、失業保険をもらうことが可能です。以下では、具体的なケースに応じて、どのような場面で、再就職後すぐの退職でも失業保険を受け取れるのかについて解説します。
再就職後数ヶ月で退職した場合
例えば、再就職後わずか1ヶ月で退職した場合、新たな受給資格は得られません。
新たに受給資格を得るには、自己都合退職だと、原則として離職前2年間に通算12ヶ月以上の被保険者期間が必要だからです。その結果、「新規の受給資格なし」と判断されます。この場合、前回の支給日数を使い切っておらず、かつ、前回の離職日から1年を経過していなければ、失業保険を再受給することができます。
なお、退職理由が自己都合だと、7日間の待機期間の満了後、原則として1ヶ月の給付制限期間が設けられていることに注意してください(※)。
- 退職日から遡って5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合退職し、受給資格決定を受けた場合、給付制限は3ヶ月となります。
- 自己の責に帰すべき重大な理由によって解雇(重責解雇)された場合、給付制限は3ヶ月です。
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試用期間中に退職した場合
試用期間中の退職も、通常の場合と同じように扱われます。
多くの会社では3ヶ月〜6ヶ月程度の試用期間を設け、能力や適性を判断します。したがって、試用期間中の退職だと、雇用保険への加入期間が6ヶ月に満たない状態で退職する可能性が高いです。
退職理由の判断は、形式ではなく実質に沿って行われ、試用期間満了時の本採用拒否は、会社からの一方的な解約として「解雇」と同じ性質があり、会社都合退職となります(この場合、6ヶ月の被保険者期間で足りますが、試用期間が3ヶ月だと、これすら満たしません)。
やむを得ない事情で早期に退職した場合
短期間の退職には、労働者側としてやむを得ない事情があることもあります。
例えば、病気や介護などの家庭の事情、入社時の説明と労働条件が著しく異なるといった問題が会社側にある場合などです。これらは正当な理由のある自己都合退職として「特定理由離職者」に該当する可能性があり、その場合には加入期間の要件が緩和され、給付制限もかかりません。
したがって、やむを得ず早期に退職せざるを得ない状況に追い込まれた場合、その退職理由を証明するための証拠を確実に入手しておきましょう。
失業保険を再受給するまでの手続きの流れ

実際に再就職後すぐに退職し、失業保険を再受給する手続きの流れを解説します。
再受給時も、基本的な手続きは初回の受給時と大きくは変わりません。
再受給を希望する場合、まずは住所地を管轄するハローワークで求職申込みを行います。この手続きでは、以前の会社を離職した際に交付された「雇用保険受給資格者証」と、今回退職した会社から交付された「離職票」などの書類が必要となります。前回の残りをもう一度もらう場合でも、改めてハローワークでの手続きが必要であることに注意してください。
ハローワークは離職票をもとに離職理由を判断します。前述の通り、離職理由によって「失業保険がいつからもらえるか」が異なり、会社都合退職であれば7日間の待機期間の経過後すぐに支給が始まりますが、自己都合退職だと、その後に原則として1ヶ月の給付制限が設けられます。
再就職後すぐに退職したケースほど、本解説のように「受給できるか」とともに、「いつから支給されるのか」も確認しておいてください。
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再就職手当などの就業促進手当を受給した場合の注意点

労働者の中には、失業保険に甘えて再就職が遅れる人もいます。
しかし、転職活動の支援や生活保障を目的とする失業保険が、かえって再就職の妨げとなるのでは本末転倒です。そこで、雇用保険制度では、早期に再就職が実現した場合の「就業促進手当」として、再就職手当、就業手当、常用就職支度手当の3種類の給付を設けています。
ただし「前回の支給日数が残っている場合」で解説の通り、再就職手当を受け取った場合、その分が残日数から控除され、再受給できる額が減るおそれがあります。
再就職手当
再就職手当は、安定した再就職に成功した場合に、一定の金銭を受け取れる給付です。その条件は、次の通りです。
- 就職日の前日まで失業認定を受け続けていたこと
- 雇用期間が1年を超えること
- 雇用保険適用事業所における雇用であること
- 離職前の事業主への再就職ではないこと
- 就職日前3年以内に再就職手当、常用就職支度手当を受給していないこと
再就職手当は、基本手当日額の50%または60%に相当する金額を受け取れます(所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して就職した場合には支給残日数の50%、所定給付日数の3分の2以上の支給日数を残して就職した場合には支給残日数の60%を基本手当日額に乗じて得た額)。自身で事業を開業した場合でも、上記の要件を満たすなら再就職手当が支給されます。
就業手当
就業手当は、再就職手当の要件を満たさない就業の場合でも、一定の要件を満たすと支給される給付です。例えば、「常用雇用以外の雇用形態」では再就職手当の条件は満たさないものの、就業手当を受け取ることができます。その条件は、次の通りです。
【人的要件】
- 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上であること
- 基本手当の支給残日数が、45日以上であること
- 基本手当の受給資格の要件を充足していること
【その他の要件】
- 通算7日間の待機期間の経過後の就業であること
- 離職前の事業主への再就職ではないこと
- 離職理由による給付制限を受けるとき、待機期間満了後1か月の就業の場合にはハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による再就職であること
- ハローワークに求職申込みをした日前に雇用予約をしていた事業主への雇用ではないこと
就業手当の支給額は、基本手当日額の30%に相当する額となります。
常用就職支度手当
常用就職支度手当とは、障害者など、就職が困難な者が安定した職業に就いた場合に支給される給付のことです。
「離職票のもらい方」の解説

再就職後の失業保険に関するよくある質問
最後に、再就職後の失業保険に関するよくある質問に回答しておきます。
再就職時の失業保険の手続きは?
再就職が決まった場合、失業保険はストップするのが原則です。
この際の手続きとしては、ハローワークにおいて、再就職の前日までの期間の失業認定を受ける「認定日の変更」を行います。そして、再就職手当支給申請書に、再就職先の事業主による証明を受け、ハローワークへ提出します。
再就職後でも失業保険が受け取れる場合がある?
早期の再就職に成功すると、就業促進手当が受給できます。
また、再就職により失業保険の支給は中断しますが、その後すぐ退職した場合、支給残日数があり、受給期間内(1年)であれば、支給を再開することができます。
失業保険に残日数があるのに再就職するのは損?
「失業保険をもらい切らずに再就職するのは損だ」という考えもありますが、誤りだと言ってよいでしょう。
確かに、失業保険は生活の糧となる重要な収入ではあるものの、転職活動や再就職を遅らせる理由にはなりません。このような考えを抱かせないよう、失業保険では「就業促進手当」の制度が設けられています。
特に、再就職手当は、支給残日数が多いほど高額になります(所定給付日数の3分の2以上の支給日数を残して就職した場合には支給残日数の60%)。また、再就職後すぐに退職してしまった場合の再受給の面でも、再就職が早いほど、受給期間(1年)を経過していない可能性が高まります。
したがって、状況に応じて損得は変わりますが、少なくとも、失業保険のみを理由に「再就職するかどうか」という重要な決断をすべきではありません。
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【まとめ】失業保険の再受給

今回は、失業保険が再受給できるケースについて解説しました。
失業保険は、一度受給した後でも、再就職の状況によっては再受給できる可能性があります。ただし、再受給には条件があり、既に所定給付日数を使い切っている場合にはできません。また、退職理由が自己都合か会社都合かによっても取扱いが異なります。
失業保険の有無が気になるときは、早まって退職を決断する前に、ハローワークへの確認と弁護士への相談を行い、確実に受給できる準備をしておきましょう。退職時などに、失業保険についての疑問や不安のある方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
失業保険の制度の仕組みを正確に理解しておくことで、本来得られたはずの利益を失わないよう注意しておきましょう。
- 失業保険は、一度受給後に再就職しても条件を満たせば再受給できる
- 前回の支給日数が残っていて、受給期間内(1年以内)であることが重要
- 再就職後に新たな受給資格を得ていれば、それに基づいた受給も可能である
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