失業保険を受け取るには、「失業状態」であることが条件となります。
失業保険は、再就職までの生活を支える重要な収入源となります。分かりやすくいうと「就職したいけれど、就職できない」という人の生活費を補う給付なので、そもそも就職する気がない人、働くことができない人には、失業保険は支給されません。
この「就職したいけれど、就職できない」という状態こそが、「失業状態」です。失業状態にあることは、失業保険の必須の条件となり、該当しなければ受給できません。
今回は、「失業状態にある」と評価されるために満たすべき要件について、労働問題に強い弁護士が解説します。
- 失業保険をもらうためには「失業状態」にあることが要件
- 失業状態と認められるには、就職の意思と能力があり求職活動をする必要がある
- 失業状態に該当すれば、失業保険をもらった後働かなくても問題ない
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失業状態とは

失業状態とは、「就職したいのに、就職できない状態」のことです。
具体的には、就職の意思と能力があり、積極的に求職活動をしている必要があります。失業状態が具体的にどのような状態なのか、以下のポイントを押さえてください。
就職を希望している(就職の意思がある)
まず、失業状態であると認定されるには、就職を希望していることが必要です。
そもそも就職を希望しておらず、退職後に働く意思がない人は、失業保険を受け取れません。例えば、次のケースは、退職しても就職を希望していないので「失業状態」ではありません。
- 育児に専念するために退職した場合
- 学業に専念するために退職した場合
- 定年退職し、年金生活をする予定である場合
就職できる状態にある(就職の能力がある)
次に、失業状態であると認定されるために、就職できる状態にあることが必要です。
就職するための能力、つまり「働ける力」がない場合は「失業状態」ではありません。健康状態が悪化し、退職後すぐに就職できない方や、就職できる環境にない方は、失業保険を受け取れません。ケガや病気で動けないなら、治るまで働けないのですから、次の要件である求職活動も積極的に進めることはできないでしょう。
例えば、次のケースは「失業状態」ではありません。
- 事故によるケガで就労困難である場合
- うつ病や適応障害などの精神疾患が悪化して退職した場合
- 病気で入院してしまい、働くことができない場合
積極的に求職活動をしている
最後に、失業状態と認定されるために、積極的に求職活動をする必要があります。
就職を求めて積極的に活動しなければ、仕事が見つからないのは労働者自身の責任とも言えます。就職の意思と能力があっても、就職活動を全く行っていなければ失業保険を受給できません。
失業状態であることは資格認定の手続きで確認される

失業保険を受給するには、ハローワークにおける資格認定が必要となります。
失業保険は、雇用保険に一定期間加入し(自己都合は12ヶ月、会社都合は6ヶ月が原則)、かつ、失業状態にあることが必要となります。これらの要件を満たしているかを確認するのが、ハローワークの資格認定の手続きです。この手続き内で、「失業状態ではない」と判断されると受給資格を得られず、失業保険を受給できなくなってしまいます。
資格認定の際は、認定日前の4週間について「失業状態にあったかどうか」を確認します。そして、認定を受けることができれば、その4週間分の手当をまとめて受け取れます。資格認定は、4週間ごとに1度行われるため、認定日ごとに失業状態が継続している必要があります。
失業保険の資格認定の手続きは、ハローワークで行われます。具体的には、認定日にハローワークに「失業認定申告書」を提出して、「失業状態」にあることの認定を受けます。
「失業保険の手続きの流れと条件」の解説

失業状態であると認められないケースとは?

失業状態であるとは認められないケースについても理解してください。
失業状態の要件を満たさない場合、つまり、就職の意思がない場合、就職の能力がない場合、積極的な求職活動をしていない場合は、失業状態であると認めてもらうことができず、失業保険を受給できません。
例えば、失業状態であると認められない具体例は、次の通りです。
- 結婚を理由に退職した後、主婦になることを決意している場合
- 退職後しばらくはリフレッシュし、就職する気がない場合
- 病気やケガを理由に退職し、すぐに労働できない場合
- 妊娠・出産を理由に退職し、育児のため職場復帰が困難な場合
- 介護を理由に退職し、就職が難しい場合
- 学校に通うために退職し、日中の業務が現実的でない場合
既に新しい仕事をしている場合も失業状態ではありません。無収入のボランティアでも、活動をしていると失業状態の認定を受けられなくなり、給付が先送りとなる可能性があります。
例えば、次のようなケースは、失業状態と認められないおそれがあります。
- 短期の空白のみで再就職に成功した場合
- 生活費を補うためにアルバイトをしていた場合
- 退職後も副業による収入がある場合
- 派遣社員として働いていた場合
- 役員や顧問に就任し、収入を得ていた場合
- 退職後、自営業として独立起業した場合
失業状態になく本来は受け取れないはずなのに失業保険をもらうと、不正受給となってしまいます。既に仕事しているのを隠して失業保険をもらうなど、不正受給には重いペナルティがあり、受給停止や受給額の返還のほか、いわゆる3倍返しのペナルティがあります。
「失業保険の不正受給」の解説

失業保険をもらった後働かないことは許される?
失業状態と認められるためには、積極的な求職活動が必要と解説しました。
一方で、必ずしもすぐに働かなくても、それだけでは違法でも不正受給でもありません。実際、失業保険をもらっている間ずっと職に就かなかったり、全額を受給し終えた後でも働いていなかったりしても、特にペナルティはありません。
あくまで「働く気がある」ことが重要で、そのために求職活動を積極的に行っていればよく、結果として再就職先が決まらなかったとしても問題はありません。この場合、所定給付日数の受給を終了するか、受給期間(1年)を経過することで、失業保険の支給は終了します。
ただし、無収入となっても国民健康保険や国民年金、住民税の支払いは免れません。一度受給を終了すると加入期間がリセットされ、次回就職した場合は、新たに雇用保険の加入期間を満たさなければ次の受給ができなくなります。また、「失業状態であると認められないケースとは?」の通り、「そもそも働く気すらない」という場合は不正受給になることに注意が必要です。
【まとめ】失業状態について

今回は、失業保険を受給するための条件である「失業状態」について解説しました。
失業保険に関する法律知識を理解すれば、会社を退職せざるを得ない場面でも、できる限り有利に給付を得ることができます。
失業保険に関する法律知識は、無自覚のうちに不正受給となってしまわないためにも大切です。特に、「失業状態」についての理解を誤っていると、本来は受け取れないはずなのに失業保険を受給し続けてしまうケースもあります。
退職の前後で、失業保険についての不安や疑問のある方は、ぜひ一度弁護士に相談してください。
- 失業保険をもらうためには「失業状態」にあることが要件
- 失業状態と認められるには、就職の意思と能力があり求職活動をする必要がある
- 失業状態に該当すれば、失業保険をもらった後働かなくても問題ない
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