会社に勤務していた期間には、給料から所得税、住民税が天引きされ、会社があなたに代わって納税する手続が一般的です。
「なぜ給料からこんなに税金を引かれなければならないのか・・・」と残念に思った方が多いのではないでしょうか。
しかし、会社を退職すると、税金の支払についても、あなたが自分で行う必要があります。
会社からもらっていた給料が多かった方は、今後の住民税の増加という形ではねかえってきますので、しっかり貯金しておかなければ、税金を払いきれません。
逆に、払いすぎた税金を、確定申告を行うことによって還付を受けることが可能な場合もあります。
支払うべき税金を滞納せず、一方で税金を払いすぎないために、退職前後で行うべき税金手続の流れを、弁護士が解説します。退職前後の税金と確定申告について、しっかり理解しましょう。
目次
1. 退職時に検討しておくべき税金の種類
一口に「税金」といっても、様々な種類があります。
退職時に検討が必要となる可能性のある税金は、例えば次のようなものです。
- 所得税(給与所得)
- 所得税(退職所得)
- 住民税
適切な手続きを行うためには、確定申告手続きが必要な場合もあり、会社から給与明細、源泉徴収票などを受け取っておかなければなりません。
2. 退職金を受領する場合の税金の手続
労働者(あなた)が、退職に伴って会社から退職金を受領できる場合には、退職所得の受給に関する申告書を会社に提出する必要があります。
「退職所得の受給に関する申告書」は、退職所得の受給を受ける前に、退職所得の支払者、すなわち、会社に対して提出する必要があります。
「退職所得の受給に関する申告書」の提出がない場合、会社は、あなたに支払う退職金から、20%の所得税を源泉徴収しなければいけないこととなり、あなたが受給できる退職金の額が減少してしまうこととなります。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出しておけば、勤続年数に応じた退職所得控除を利用することが可能となり、多くの場合、退職金に対する税金はかからないケースが多いです。
3. 住民税について注意すべきポイント
次に、住民税について、退職前後に注意すべきポイントを、弁護士が解説します。
3.1. 翌年の住民税の支払に注意
住民税は、前年の所得に対して課税されるのであって、住民税を支払う年の収入は関係ありません。
そのため、会社に勤務していた期間の給料が高額であり、その後退職して無収入となった場合には、無収入であるにもかかわらず、高額な住民税を支払う必要が生じてきます。
このような事態にあって住民税が未払となることを回避するためには、あらかじめ、収入の一部を住民税を支払うための貯金に振り分けておく必要があります。
3.2. 退職時期により住民税の支払方法が変わる
住民税をどのタイミングで支払わなければならないかは、退職の時期によって異なります。
1月から4月までに退職した場合には、退職をした月を含めた残りの税額を一括徴収されます。
5月に退職した場合には、1か月分が徴収されます。
6月以降に退職した場合には、退職の翌月以降に、特別徴収できなかった住民税の残額が、普通徴収の方法によってあなた自身が支払わなければならない住民税として徴収されます。
4. 確定申告と源泉徴収票
退職をした年中に再就職をしなかった場合には、その年の収入について、翌年の2月16日から3月15日の間に、確定申告を行う必要があります。
確定申告の時期は、年によって変更される可能性があるので、詳しくは税務署のアナウンスに注意しましょう。なお、還付申告の場合には、1月1日以降申告が可能となります。
退職した年中に再就職をした場合には、再就職先において年末調整を行うことで、確定申告を行わなくてもよくなります。
確定申告を行う場合であっても、再就職先での年末調整を行う場合であっても、必ず必要となってくるのが、在職期間中の収入を証明するための、源泉徴収票です。
退職した際には、早めに源泉徴収票を会社から受け取っておくようにしましょう。
確定申告の際に必要な書類は、例えば次のようなものです。
- 確定申告書
- 給与所得の源泉徴収票
- 退職所得の源泉徴収票
- 生命保険料控除証明書
- 地震保険料控除証明書
- 医療費の領収書
5. まとめ
今回は、退職前後に注意しておくべき税金に関するポイントと、確定申告について解説しました。