「年金の受給はまだまだ先のことだから・・・」と甘く見ていてはいけません。
会社を退職すれば、これまで会社があなたの代わりに行ってくれていた年金の手続きについても、あなたが自分で行わなければなりません。
あなた自身だけでなく、扶養家族である配偶者の手続きについても行う必要がありますので、注意が必要です。
将来年金を適切に受給するためにも、会社を退職する前後の手続きについて、弁護士が解説しますので、よく理解しておいてください。
1. なぜ退職時の年金手続きが重要なの?
年金問題というと、受給が先の話すぎてピンと来ない方もいるかもしれません。
しかしながら、基礎年金制度は、20歳以上60歳未満の人が加入し、65歳から老齢基礎年金を受給する制度です。
この老齢基礎年金を受給するためには、25年(平成29年4月からは10年)以上の加入期間が条件となります。
さらに、満額受給をするためには、40年もの加入期間が必要となるのです。
年金の加入期間に合算できるのは、一般的に次の期間です。
- 国民年金保険料の納付済期間
- 国民年金保険料の免除期間
- 厚生年金保険の加入期間
- 合算対象期間
- 学生の納付特例期間
その上、年金の納付が未納となっている、いわゆる「空白期間」が存在する場合には、障害給付が受けられなかったり、将来受給できる年金額が減額されたりします。
これが、退職時、即座に適切に年金に関する手続きを行うべき理由です。
2. 退職前に、年金受給のために行うべき準備
会社を退職する際に、将来年金を受給するために行うべき準備を適切に行いましょう。
年金受給は将来のことであり、現在の年金の状況から、将来の年金受給に不安があり、ないがしろにされがちですが、あなたが自分で行っていかなければならない手続きとなります。
まずは、年金手帳を紛失していないかを確認してください。
年金手帳は、会社によっては、会社が労働者の年金手帳を預かっている会社もあります。この場合であっても、会社に退職の意思表示を伝えた時点で、年金手帳の存在を確認しましょう。
年金手帳を紛失してしまった場合には、年金事務所に再交付の手続きをしておく必要があります。
3. 年金をすぐには請求できない場合
退職時に満60歳未満の人の場合、年金を今すぐに受給することはできません。とはいえ、将来の年金受給のため、退職時に行っておくべき手続きを行う必要があります。
退職後は、国民年金に加入することになりますから、国民年金への加入変更の手続きを行いましょう。
具体的には、離職日の翌日から数えて14日以内に、あなたの住所の市区町村役場で手続きを行います。
国民年金の種別変更の届出に加えて、満60歳未満の配偶者を扶養している場合には、扶養している配偶者についての届出もあわせて行う必要があります。
その後、年金事務所より、あなたの住所宛てに、国民年金保険料の納付書が送付されますので、退職後は、あなた自身が国民年金保険料の支払い手続きを行います。
4. 退職後すぐに年金を請求できる場合
退職時に既に年金を請求できる年齢に達している場合には、年金を請求し、受給することとなります。
なお、年金を受給できる年齢、及び、受給できる年金の種類・金額については、法制度の度重なる改正によって、あなたの年齢、時期によって様々となりますので、具体的には専門家の意見を聞くのがよいでしょう。
まず、老齢給付の裁定請求手続きを行いましょう。
年金の請求をしてから1か月が経過すると、年金裁定通知書と、年金証書が送付されます。
この通知後、偶数月ごとに、年金が指定の口座へ振込されます。